ハンガリーには数多くのピアニストが活躍しているが、このクララさんは中でも最も知られた演奏家の一人といって過言ではないだろう。リスト賞、バルトーク賞などの数々の栄誉に輝き、フンガロ・トンをはじめ数多くのレコーディングがあり、そしてブダペスト・リスト音楽院のピアノ科の教授でもある。(彼女に師事した日本人も多数いると聞く!) それに何より私生活ではこのサヴァリア響のディレクター・ホルヴァート氏の奥様でもある。ホルヴァート氏を通じ以前からずっと交流があったため一度演奏をご一緒したいとかねがね思っていて、ついに実現したのがこの演奏会であった。それもシーズン幕開けの演奏会で、曲目がリストの協奏曲第2番という非常にセンスを要求されるものであったが、演奏中は彼女の確かな技巧と音楽性に導かれて、この作曲家の音楽の真髄に触れることが出来たような気がする。
「この曲私が16歳の時に初めて弾いたピアノ協奏曲なのよっ!」満面の笑みをたたえてそう語ってくれた彼女の表情には、この曲のみならずハンガリーが生んだ大作曲家・リストの音楽への深い愛情と共感が感じられるかのようであった!
(※写真は公演終了後楽屋前にて)