栃響との共演第3弾は、念願のブラームスの"ドッペル”を最高のソリストとの演奏で行うものだった。お二人とも同じ桐朋の先輩後輩の間柄で気心も知れ、もうこの曲についてはお互いのスタイルや音楽が完成し、自由奔放・優美さと熱情あふれる演奏で、伴奏指揮者としてややついていくのが精一杯の感もあったが、練習や2度の本番を重ねるにしたがって呼吸や仕掛けのタイミングも飲み込め、この定期演奏会のステージはとても充実した演奏になった。加藤さんはこの演奏会の直前に同曲を神奈川フィル・札響と立て続けに演奏、独特のかわいい(失礼!)キャラクターと共に「どうにでもなるわよ!」といった感の愛らしい表情が素敵だった。山崎さんはこの演奏を常にリードして貴重なアドヴァイスをたくさんいただいたが、故徳永兼一郎氏(元N響首席奏者)譲りの愛器の芳醇な響きをいつも奏でて大変魅了された。
余談になるがこのときの演奏会のメイン・プロはベートーヴェンの「田園」交響曲。前々回・前回はそれぞれ第二、第四交響曲とベートーヴェンの偶数番交響曲をこのオケのとても強いリクエストによって演奏し、私とこのオケとのベートーヴェンの音楽のスタイルをある意味で確立できたすばらしい共演の機会だった!
(※公演終了後の打ち上げ時の写真(宇都宮文化会館内にて))